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サステナビリティ
SUSTAINABILITY

Update ZIGExN じげんのコーポレートロゴリニューアル プロジェクトの裏側

08.24.2021

じげんは2021年6月に創業15周年を迎え、パーパスを新設・それに伴いロゴも刷新しました。
新しいコーポレートロゴは、「じげん」の「じ」・「Z」をモチーフに、日本発のインターネット企業としてのアイデンティティを大切にしたものです。社内コンペからスタートし、代表の平尾とプロジェクトメンバーで試行錯誤しながらつくったじげんのコーポレートロゴ。今回は、ロゴリニューアルプロジェクト(以下ロゴPJT)の主要メンバー(写真左より)デザイナーの室井・西守、広報の津田がプロジェクトの裏側について語ります。

じげんが15周年を機に、ロゴをリニューアル

今回のロゴリニューアルプロジェクトは、どんなプロセスで進められたのでしょうか。

津田:このプロジェクトはざっくりと5つのプロセスで進めました。

  • ロゴコンペを実施・全社員からロゴの原案を公募
  • 集まった案から経営陣が選定
  • プロジェクトチーム(平尾・デザイナー2名室井・西守・広報2名)でディスカッション、アイデアの幅出し、次のじげんで実現したいこと、社会とどう関わるのかを整理。
  • 方向性決定~ブラッシュアップ
  • ロゴ決定・各種ツール展開

公募から決定までは3か月程度でしたが、準備期間を含めると約1年ですね。

新・旧のロゴは両方、室井さんがデザインされたんですよね。まずは旧コーポレートロゴのコンセプトを教えてください。

室井:旧ロゴは2009年、社名が「じげん」となるタイミングでデザインしたものです。社名 ZIGExN の x は、“掛け合わせる・つなぐ“という意味で、E(インターネット) で N(無数の人・モノ・情報など)を結ぶ、事業ドメインを表わしています。

旧ロゴのコンセプトは、「あらゆる人・モノ・情報をつなぎ、新たな機会を生みだし、世界を豊かに彩る」。じげんという会社の目指す方向性・社名に込められた世界観を、そのまま表現しました。
点(白いドット)が結ばれ線となり、線から面(カラフル三角形)がうまれ、それがつながって、できあがる世界(球体)は、《インターネットを通じた、宇宙(せかい)をつなぐプラットフォーム》をイメージしています。

新ロゴのコンセプトとどう異なるのでしょうか。

津田:以前のロゴは創業期につくったロゴなので、「じげんが何者なのか」というものを表現していたロゴで、今回のロゴは「何者か」ではなく、「何を武器に、どうしていくのか」というところにフォーカスしました。
このプロジェクトが立ち上がった当初から平尾は、「ステークホルダーのさらに先、社員の家族や、まだ出会っていないお客さまにも目を向けていきたい」と話していました。
じげんのオリジンを出しつつ、世の中にとって我々がどういう介在価値を出していくのかを突き詰めた結果、今のロゴになりました。

「これまでのロゴを超えるものを」そんな想いから始まったプロジェクト

ロゴのリニューアルのお話があがったとき、皆さんはどう思われたのでしょうか。

西守:「ロゴを変えるかもしれない」というのはずいぶん前に平尾からは聞いていましたが、それが15周年のタイミングだったのは、思っていたより早い印象でした。20周年あたりかなと思っていたんです。
以前のロゴもすごく思い入れがあったので、寂しい気持ちや、プレッシャー、ワクワク感を同じくらいの比率で感じていました。

室井:私も西守と同様ですね。旧ロゴを掲げて会社が成長していくのを10年以上見てきましたし、慣れ親しんだゆえの寂しさ、社内外に定着している既存イメージを壊すことへの怖さ、さらに超えていかなければいけないことへのプレッシャーが入り混じった感覚でした。ある意味、旧ロゴを作った過去の自分への挑戦のようにも感じ、やりがいのあるプロジェクトだと思いました。

津田:私は2人よりも社歴が短いので、少し違う感情でした。
2人が言うように、「20周年のタイミングで」と、当初は平尾も考えていたかもしれません。
15周年のインタビューでも語っていたように、コロナ禍で社会全体が混乱する中で、会社の未来や社員の未来に対して「もっと自分たちができることがあるはず」と方向性が見えたタイミングに、会社の象徴であるロゴも変えるという決断に至ったようです。
今回のリブランディングプロジェクトが始まったときは、変わろうとしている平尾の覚悟を、どうやって形にして伝えるか?プレッシャーでした。

全社員から公募、とありましたがどのように進めていたのでしょうか。

津田:全社キックオフで平尾から社員に向けてこれからのじげんについてのメッセージと共に発表しました。
「次のじげんをつくるためのコーポレートロゴ」というざっくりとしたお題で設定し、非制作メンバーでも気軽に参加できるようにしました。クオリティに左右されないよう、「手書きOK」という枠組みにし、楽しく参加してもらうことにこだわりました。
ラフでも、コンセプトが光るアイデアを採用した後、デザイナーと広報でブラッシュアップをしていくプランでした。

コンペを開始した時点から私たちの想定が甘かったことに気づかされます。
想像していたよりも多く、社歴の長さやポジションに関係なく色んな社員から100案近いアイデアが集まったんです。

室井:コンペは楽しみにしていた一方で、「納得できるものじゃないと、変えてたまるか!」という気持ちも持っていました。(笑)まずは、広報から実際に出てきた案を見せてもらって、「こんなに参加してくれるの?」と驚きましたね。

西守:「絵心に自信がない」と言っていたメンバーが参加してくれていたり、ひとり一人の会社への想いや当事者意識のようなものが垣間見えて感動しました。どれも、間に合わせで作った感じがしなかったんですよ。

「じげんのオリジン」を模索しながら走り切った2か月半

応募された中から、経営陣で選定されて、今のロゴに至ったのでしょうか。

津田:結論から言うと、どの案も採用されなかったんです。出された案それぞれのコンセプトがどれも魅力的だったこともあり、役員陣の中で意見が分かれてしまいました。
役員陣の意見と社員からのアイデアを並べながら、「これはもう一度整理する必要があるのではないか」という考えに至ったんです。

振り出しに戻ったということでしょうか。

室井:そうですね。改めて「次のじげんをどうしたいのか」「どう伝えたいのか」「じげんのオリジンとは?」を整理するところから、急ピッチで進めていきました。デザイン表現の前にコンセプトがまだ固まりきっていないように感じて徹底的にヒアリングしたので、時には平尾を困らせてしまうこともありましたね。(笑)

西守:そうでしたね。(笑)。本当に納得いくものにしたかったので、そこからは全員腹をくくって、妥協せずに向き合いました。ディスカッションごとにアイデアの幅出しをして、平尾の琴線に触れたものをさらに深く詰めて、また広げて…というやり取りを繰り返していきました。手を動かすのはこの3人でしたが、それぞれの得意な表現や役割が分散できていたので、色んな案を短期間でぶつけることができましたね。

津田:室井は平尾の伝えたいことを引き出しながら、その言葉の向こう側…潜在的な要求を読み取りつつ、情緒的な表現を展開する係。西守はシャープな切り口かつ、強烈な印象を残すものを提案する係。私はプロジェクト全体の整理をしたり、名刺やホームページなどに展開したときの例を見せたりと、それぞれの得意なやり方を活かしながら支え合っていました。

今のロゴに決まる前に、ほかのロゴが最有力候補だったとか。

津田:議論を進める中で、ポイントは「じげんのオリジン」と、「これからのじげん」に絞られていきました。これまでのじげんは、成長性の強い「ユニコーン企業」。業績と共に大きくなっていく姿勢はこれからも追い求めていきたい。ですが、上場企業として成長するためにはそれだけでは成り立たない。社会性の強い「ゼブラ企業」の要素を取り込んでいかなければいけない。
ユニコーン企業とゼブラ企業をミックスした「ゼブコーン」がこれからのじげんだ!と、いうことを平尾が語り始めたところからコンセプトがまとまっていきました。
この「ゼブコーン」が、後にパーパスの「Update Your Story」につながっていくのですが、これをモチーフにした案が有力候補として進んでいました。

西守:「人々の記憶に残り、じげんのオリジンが表現されているもの」、ということにこだわった結果、「ユニコーンとゼブラ(シマウマ)のMIX」をモチーフにしたロゴが最有力候補になりました。結局何案つくったかな(笑)。私はひたすらシマウマを作りまくっていましたね。色んなパターンのものを書いたり、黄金比にはめたりしていました。シマウマモチーフや馬のロゴが世の中にたくさん存在している中で、どこまで「じげんらしく」できるのか、納得いくまで作り続けました。

シマウマや馬のロゴは確かに、色んな企業で見かけますね。

西守:そうなんです。オリジナルで0から作っていても「どこかで見たことある」という既視感がでてきてしまい、独創性の面で今一つ決定打に繋がらない状態が続きました。

室井:そのときは西守だけでなく、プロジェクトメンバー全員が煮詰まっていました。「コンセプトに合っているんだけど、本当にこれでいいんだっけ?」「このロゴは愛されるのかな?」と悩み始めてしまって。一時は「そもそもロゴって変える必要あるんだっけ?」というトコロまで思い詰めるほどだったんですよ。特に平尾が、マリッジブルーに近い感じでしたね(笑)。

西守からバトンを受けて、私も「ゼブコーン」の表現を模索しましたが、なかなか納得できる表現ができなくて。デザインが決まらず、一方で公開に向けての期限も迫っているという状況は、本当に苦しかったです。

最終案決定予定の会議直前、既にデザイン案は提出済みだったのですが、ギリギリまで表現方法を探そうと自分の手元にあるこれまでの大量のラフスケッチを見返していたら、スッと見えてきた形がありました。
その日求められていた方向性とは、別のアプローチだったのですが、もう1案追加で作ってみたんです。
暗礁に乗り上げた会議の中で、空気が変わればとその違う角度の案を見せたんですね。そしたら、想像以上にしっくりきて、その場で決定(笑)。私たちの答えは、ここまで試行錯誤してきた中にしっかりあったんですね。

最後はそんなにも、あっさりと決まったんですね。

西守:見た瞬間に、満場一致で決まりました。
「あ、これなら昔のロゴを超えられるかも」と思いましたね。
全員の決断の速さはこれまで幾度となく議論を重ねてきたからだと思います。原点に立ち返り、色んな道のりをプロジェクトメンバー全員で歩いていたからです。じげんらしさを表現するひらがなの「じ」や、「Z」を模した形、ユニコーンの角、ゼブラの縞模様を彷彿させる表現、すべての人を未来へ連れていってくれそうなポジティブなレイアウト、これまで出てきたキーワードすべてを包み込んでくれたのが、このロゴでした。

津田:あの瞬間は、今でもよく覚えています。
それまで本当にどんよりした空気だったんですが(笑)、室井のロゴを見た瞬間、全員のテンションがぐっと上がったのはオンライン越しでもわかりました。「これならいける、これなら新しいじげんを一緒に作っていける」と確信しましたね。

新ロゴ。ゼブラ企業の縞模様も彷彿させる、モノクロのロゴで最終的に決定した。

ロゴが指針となり、15周年プロジェクトは一気に加速した

新しいロゴになって、周囲のみなさんの反応はいかがでしたか。

津田:まずは協力してくれた社員に感謝の意味も込めて、4月の全社キックオフで平尾から発表しました。当日私は隣で聞いていたのですがキーボードを押す指が震えちゃって(笑)。社員に気に入ってもらえるか、どんな反応が返ってくるか、本当に怖かったです。
発表当初はどちらともない反応をしている社員もいましたが、社外へ発表してからの方がポジティブな声をもらう機会が多かった気がします。コーポレートサイトや名刺、ノベルティやオフィスなどロゴがどんどん展開されていくのを見て、「すごく良いですね」「お客さんに褒めてもらえました」と色んな社員から声をかけてもらえました。

西守:OBOGからも「今のロゴ良いですね」「新しいロゴカッコ良いね」と言ってもらえたのがとてもうれしかったです。「あ、もうすでに愛されてるな」と思えました。本当に紆余曲折ありましたが、今は自信を持ってこのロゴを引っ提げて、次へ行けるなと思います。

ロゴ以外にも、15周年のプロジェクトはたくさんあったとか。

津田:はい。ロゴリニューアルプロジェクトはあくまで全体のひとつでした。
パーパスの新設や、コーポレートサイトのリニューアル・中期経営計画「ZCORE」の発表やノベルティの制作など対外的に展開するものも多かったのですが、経営体制の変更に伴い組織も大きく変化するため、社内のエンゲージメント向上に向けて周年イベント(アニバ)も実施しました。総勢で100名近い社内のプロジェクトメンバーと仕事をするのでなかなか大変でしたが、このロゴがあったおかげでプロジェクトに携わるメンバーへ方向性を示しやすくなりました。
すべてのプロジェクトはシートで管理していましたが、新しいロゴはじげんらしさを保ちつつ色んなデザインに展開しやすいので、クリエイティブの面においても今後様々な広がりを見せてくれると思っています。

新ロゴが施されたエントランス
アニバ当日に着用したロゴ入りTシャツ
アニバ当日に掲示されたUpdateポスター
ロゴを模したクリップがノベルティに

室井:「じげん」と聞いて新しいロゴを想像する人はまだまだ少ないと思います。でも、使い続けていけば、必ず変わっていくものですよね。これから新しいロゴが使われる場面を増やして、「じげんと言えばこれだよね」「これしかもう考えられない」と言っていただけるまで早く育ってくれると嬉しいです。

ロゴの役割は企業の象徴という面もありますが、それ以上に企業の姿勢を引っ張っていくものだと思っています。じげんのイメージを刷新しつつ、じげんを次のステージへ導くロゴになると良いなと思っていて、新しいロゴと共にまた成長していくこれからのじげんが楽しみです。


[写真左より]

室井
慶応義塾大学 環境情報学部卒業後、プロダクションにデザイナーとして入社。
2008年じげん初のデザイナーとして入社し、数々のサービスの立ち上げから運用・改善に携わる。
2018年よりグループ会社のアップルワールドに選任出向。


西守

広島ビジネス専門学校 キャリアビジネス科、デジタルアーツ東京ビジュアルデザイン科卒業。卒業後、制作会社や事業会社にてキャリアを積み、2009年じげんに入社。チーフデザイナーとして「スモッカ」や「TCV」など様々なサービスのクリエイティブを支える。


津田

大阪市立デザイン教育研究所を卒業後、広告代理店・メーカーでデザイナーとして勤務後、イベントディレクターやアクセサリーブランドの立ち上げ、IT企業で営業事務などを経験。2019年1月じげんに入社。広報として社内イベントの企画やオウンドメディア・事業広報などを担当。

※所属部署・役職は取材当時のものです。

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