IFRS導入についてその1
※こちらの記事は、じげんコーポレートブログの記事を再編したものです。記事に記載されている名称などは、2017年4月18日当時のものとなります。本エピソードは当時のコーポレート責任者の執筆によるものとなります。
じげんは2017年3月期決算から国際会計基準(以下、IFRS)を任意適用し、2017年3月期有価証券報告書(6月下旬に公表予定)よりIFRS に基づいた開示を行うことを決議いたしました。
2017年4月現在において、IFRSの適用を決定した143社目の東証上場企業となるようです。※日本取引所ウェブサイトより転載
本日から何回かに分けて、IFRS移行に伴う主要論点や導入決議に到った経緯、及びプロジェクトを推進した社内体制についてお話しします。
のれん償却の是非
日本基準とIFRSの大きな違いの1つに、のれんの償却可否に係る論点があります。
M&Aを実施した場合、日本基準では取得価額と対象企業の実質純資産の差額をのれんとして計上し、20年以内の期間において定額法等によって規則的に償却する必要があります。これは、純資産を上回る分の株式取得額を対象企業の超過収益力とみなし、超過収益力は時間の経過とともに減価していくとの考え方に基づいています。
一方、IFRSでは定期的なのれんの償却は認められていません。その代わりに、毎年必ず減損テストを実施しなければならず、減損テストの過程で算出される対象企業の公正価値(回収可能額)が簿価を少しでも下回っていれば、即時に減損損失の計上となります。キャッシュフローの見通しが当初想定を(公正価値が簿価を)著しく下回らない限り減損テストの対象にすらならない日本基準とは対照的です。
それぞれの会計処理には一長一短がありますが、M&Aの実務を担当している身としては、実態に近いのはIFRSではないかと考えています。
例えば2014年9月からじげんグループ入りしているリジョブの株式取得額は1,980百万円で、取得前の直近期である2013年9月期の売上高は895百万円でしたが、有価証券報告書にも記載の通り、2016年3月期の売上高は1,910百万円、経常利益は799百万円でした。2017年3月期業績は未開示ですが、連結業績と同様に増収増益を続けています。
リジョブのようにM&A後の業績が大きく伸張しており、取得額に対して十分な利益を計上している企業の「超過収益力」が減価しているというのは考えづらいことです。著しい低下以外の公正価値変動を考慮せずに定期償却を義務付け、償却年数や償却方法はまちまちな日本基準よりも、毎期必ず公正価値を算出して「超過収益力」に変化がないか判定するIFRSの方が、フェアで恣意性も低いように思われます。
会計基準がM&Aや新興市場の動向にも影響?
また、証券会社でM&Aを手掛ける投資銀行部門、及びベンチャーキャピタルの方々とディスカッションをしていると、日本基準で義務付けられているのれん償却がグローバル企業と比較して日本企業のM&Aが増加しない一因になっている、との愚痴を耳にすることがあります。
確かに、キャッシュフローに影響を与えない会計上の要因とはいえ、経営者やM&A担当者にとって利益を圧迫する償却負担の多寡が投資の意思決定を左右することは少なくありません。特に設立間もないスタートアップ企業の株式を取得する際は取得額と純資産の差が開きやすいため、のれんの償却可否によってその後の連結業績は大きく異なることとなります。
IFRSだけではなく米国会計基準(US-GAAP)でものれんは非償却となっていますが、GoogleによるYouTubeやFacebookによるWhatsApp、Instagramといった象徴的なM&A案件に限らず、米国では上場企業によるスタートアップ投資が非常に活発で、ベンチャー企業を支えるリスクマネーが潤沢だからこそ、未上場でも巨額の資金調達を行って積極的にスケール拡大を追求できるユニコーン(未上場ながら株式評価額が$1billionを超える企業)が生まれやすいと言われています。
一方の日本では、スタートアップ企業のエグジット(創業者やベンチャーキャピタルによる投資資金の回収)が上場企業による巨額のM&Aという形でなされる例はほぼ皆無で、マザーズやジャスダックといった新興株式市場へのIPOか、数億円から数十億円台前半でのM&Aが主流となっています。
一時期、上場直後に業績予想を下方修正する新興企業を「上場ゴール」と批判する風潮が高まりましたが、実際には上場による売却益の確保のみを目的とするよこしまな考えの経営者はごく稀なはずです(そんな考えで上場まで辿り着けるほど簡単ではありません)。日本のベンチャー企業はある程度の規模になるとリスクマネーの供給者が少なくなり、更なる事業拡大のために資金を調達するには、業績のボラティリティが依然として高い事業フェーズにあるにも関わらずIPO以外に選択肢がなかった、というのが実情ではないかと思います。
のれんの償却費に縛られずに上場企業が大胆な投資決定をできるようになれば、日本のM&A市場にも新興株式市場にも、何らかの変化が訪れるかもしれません。
経営の質の改善
話がマクロ寄りにだいぶ逸れてしまいましたが、じげんでは決してのれん償却負担の軽減を主目的にIFRS導入を決議したわけではありません。むしろ、毎期減損テストを行うより厳格な運用とすることで、M&A投資やPMIにおける規律向上、及び事業責任者のバランスシートへの意識付け強化を狙いたいと考えています。
次回の記事では、IFRSへの導入が管理体制を中心とした社内にどのような影響があるのか、という点について記します。
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Jobs 【中途】《経営戦略部》経営企画・M&A担当
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募集概要
経営・財務・投資の中核機能を担う経営戦略部において、社としての重大な意思決定に係る業務・プロジェクトに従事していただきます。
経営管理、経営推進といった各コーポレート部門とも密に連携しながら、社長直轄で事業拡大を推進するポジションです。
当社代表直轄である特命ポジションであり、経営のパートナーとして高い戦略性、リーダーシップが求められるポジションです。 -
仕事内容
<具体的な業務内容>
◆経営企画業務
・全社的な経営計画(経営戦略、事業戦略、財務戦略、投資戦略、組織戦略)の策定
・グループ内の各企業、事業の管理会計、予実管理の取りまとめ
・外部企業とのアライアンス提案、実行◆M&A業務
・M&A戦略の立案、対象企業の選定
・金融機関、仲介企業、事業会社を通じたソーシング(案件発掘)
・ビジネス、財務、法務観点からのデューデリジェンス
・対象企業やカウンターパーティとの価格条件や契約条件の交渉
・PMI(M&A後の経営統合)の戦略立案、ハンズオンでのバリューアップの実行◆ファイナンス業務
・財務戦略の立案、資本市場や金融機関との折衝<仕事の魅力>
上場ベンチャー企業の経営企画やM&Aのソーシング~デューデリジェンス、資本市場や金融機関との折衝など、チャレンジングな機会に取り組めます。
IPO前のスタートアップと比較すると資金面・ノウハウ・経験可能な領域といった点で圧倒的にチャンスが多くIPOをゴールとしない非連続成長が可能であり、また大手企業と比較すると裁量・スピード感が大きく異なります。ベンチャーのスピード感と上場企業としてのスケール感の双方を実現できる魅力的なタイミングです。
当部のメンバーには、中長期的な目標に向けて全社を牽引する実行力、決断力や、担当分野における深い専門性、またはそれを身に着けようとする意欲的な姿勢が求められます。 -
応募条件
【必須スキル】
高いリーダーシップ・戦略思考を発揮してきた経験に加え、以下いずれかの経験が1つ以上ある方
・投資銀行のファイナンス経験/M&Aの経験(戦略策定~実行まで)
・VCでキャピタリストとして投資・アライアンスを推進した経験
・戦略コンサルティングファームにて分析・戦略策定・実行まで経験がある方
・上場企業での経営企画経験(戦略策定・実行まで)
・事業会社での資金調達の経験
・起業、経営経験【歓迎スキル】
・公認会計士
・財務戦略の構築経験
・新規事業開発経験
・ターンアラウンド経験
・証券会社での公開引受・審査業務経験
・インターネットセクターにおけるベンチャー企業での経営企画・CFO経験
・企業アライアンスの経験 -
雇用形態
正社員
※グループ会社への出向の可能性がございます。 -
試用期間
6カ月
※試用期間中の待遇などに変更はありません。 -
勤務地
東京都港区虎ノ門3-4-8
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勤務時間
フレックスタイム制
・コアタイム:10:00~16:00
・フレキシブルタイム:(始業)7:00~10:00 (終業)16:00~22:00
・1日の標準労働時間:8時間
※所属長の判断により、10:00~19:00等の固定シフトとなる可能性がございます。 -
休日・休暇
完全週休2日制(土日祝)、夏季休暇、年末年始休暇
年次有給休暇(時間単位での取得も可能) -
想定給与
年収:600万円~1000万円
月給:500,000円~833,334円
※固定残業手当(45時間分):130,058円~216,764円を含む。
※45時間を超過した時間外労働の残業手当は追加支給。
※採用時のポジションにより、試用期間終了後、
別途役職手当・管理監督者手当を支給する場合あり。上記はあくまで想定であり、ご経験・スキルを考慮して決定いたします。
(給与改定年4回) -
待遇
【保険】
各種社会保険完備(雇用・労災・健康・厚生年金)【交通費】
全額支給【受動喫煙防止のための取組み】
屋内原則禁煙(喫煙室あり)【福利厚生・社内制度】
・関東ITソフトウェア健康保険組合
・ベネフィットステーション
・社内クラブ活動支援
・リファラル採用決定でインセンティブ支給
・誕生日月にAmazonギフトカード1万円分支給
・社内交流イベント(全社会、シャッフルランチ等)
・N-minutes(1日20分間昼寝ができる)
・資格補助制度
・服装自由 等 -
選考フロー
書類選考 → 一次面接 → 適性検査+最終面接 → 内定
※面接はオンラインで実施させていただきます
※適性検査については一次面接通過のご連絡後、最終面接までにオンラインで受験いただきます。(15分程度)
また、選考の合否は適性検査結果のみで判断されることはありません。
※決裁権限者や特定のポジションでの採用の場合、内定通知前にリファレンスチェックを実施させて頂いております。ご理解頂けますと幸いです。 -
よくあるご質問
こちらをご覧ください→FAQ
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Jobs 【中途】《経営管理部》IRリーダー候補
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募集概要
東証プライム市場上場インターネット企業として事業、組織ともに急成長している当社にて、IR担当としてご活躍いただきます。
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仕事内容
IR担当であり会社の顔として、世界中の投資家に対し、企業価値を向上させるコミュニケーション戦略を立案・実行していただきます。
<具体的な業務内容>
・IR戦略の立案サポート・実行
・機関投資家、アナリスト、国内外の投資家等とのコミュニケーション
・決算説明会資料作成・説明会運営
・IRサイトの運営
・その他必要な決算資料・開示資料の作成、開示対応
等上記以外にも、ご経験・ご志向によってはその他ファイナンスやM&A業務への拡張も検討致します。
<仕事の魅力>
・当社のIRにおける戦略・仕組みづくりから広報チームと連動したPR強化まで、幅広く大きな裁量をもってチャレンジできるポジションです。
・IPO前のスタートアップと比較すると資金面・ノウハウ・経験可能な領域といった点で圧倒的にチャンスが多くIPOをゴールとしない非連続成長が可能であり、また大手企業と比較すると裁量・スピード感が大きく異なります。ベンチャーのスピード感と上場企業としてのスケール感の双方を実感できる魅力的なタイミングです。
・東証プライム市場上場ベンチャー企業の経営企画やM&A、資本市場や金融機関との折衝などのファイナンス業務等、幅広い業務へのチャレンジも可能です。
・同部署には公認会計士や税理士なども所属しており、ファイナンスのみでなくアカウンティングでのキャリア拡張、専門性の習得も可能な環境です。<組織体制>
経営管理部:じげんのコーポレート部門は主に「経営管理部」、「経営推進部」、「経営戦略部」、から構成されており、経営管理部はIRの他、経理財務も担当しており、決算時はIRと経理財務では密に連携を取りながら業務を遂行しております。なお、経理管理部は他に、労務、総務等も担当しております。
経営管理部全体としては、会計士である女性執行役員(※)が管掌役員兼部長として立ち、経理財務の副部長(30代男性)、ほか男性9名・女性6名から構成され、監査法人、税理士法人出身といった専門性の高いメンバーが在籍している一方で、20代30代を中心とした若い組織で個々の裁量は大きく、実践経験を積みやすい環境です。
また、経営企画・M&A機能を担う経営戦略部とも連携を取りながら進めていただきます。 -
応募条件
【必須スキル】
下記いずれかのご経験をお持ちの方
・IRのご経験(1年以上)
・インターネット企業での就業経験【歓迎スキル】
・ビジネス英語
・上場事業会社での財務経理経験、経営企画経験 -
雇用形態
正社員
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試用期間
6カ月
※試用期間中の待遇などに変更はありません。 -
勤務地
東京都港区虎ノ門3-4-8
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勤務時間
フレックスタイム制
・コアタイム:10:00~16:00
・フレキシブルタイム:(始業)7:00~10:00 (終業)16:00~22:00
・1日の標準労働時間:8時間
※所属長の判断により、10:00~19:00等の固定シフトとなる可能性がございます。 -
休日・休暇
完全週休2日制(土日祝)、夏季休暇、年末年始休暇
年次有給休暇(時間単位での取得も可能) -
想定給与
月給:375,000円~500,000円
※固定残業手当(45時間分):97,544円~130,058円を含む。
※45時間を超過した時間外労働の残業手当は追加支給。
※採用時のポジションにより、試用期間終了後、
別途役職手当・管理監督者手当を支給する場合あり。上記はあくまで想定であり、ご経験・スキルを考慮して決定いたします。
(給与改定年4回) -
待遇
【保険】
各種社会保険完備(雇用・労災・健康・厚生年金)【交通費】
全額支給【受動喫煙防止のための取組み】
屋内原則禁煙(喫煙室あり)【福利厚生・社内制度】
・関東ITソフトウェア健康保険組合
・ベネフィットステーション
・社内クラブ活動支援
・リファラル採用決定でインセンティブ支給
・誕生日月にAmazonギフトカード1万円分支給
・社内交流イベント(全社会、シャッフルランチ等)
・N-minutes(1日20分間昼寝ができる)
・資格補助制度
・服装自由 等 -
選考フロー
書類選考→ 一次面接 → 適性検査+最終面接 → 内定
※面接はオンラインで実施させていただきます
※適性検査については一次面接通過のご連絡後、最終面接までにオンラインで受検いただきます。(15分程度)
また、選考の合否は適性検査結果のみで判断されることはありません。
※決裁権限者や特定のポジションでの採用の場合、内定通知前にリファレンスチェックを実施させて頂いております。ご理解頂けますと幸いです。 -
よくあるご質問
こちらをご覧ください→FAQ
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