10周年を迎えたリジョブが次に挑む、業界貢献の先にある社会貢献(前編)
2014年に じげんとのM&AおよびPMIを経て、2019年末には創業10周年を迎えた株式会社リジョブ(以下、リジョブ)。業界最大級の掲載数を誇る美容・ヘルスケア業界に特化した求人サイト「リジョブ」や介護業界に特化した求人サイト「リジョブ介護」の運営のほか、フィリピンの貧困層の方々の経済的自立を支援する「咲くらプロジェクト」も行っている。今年1月には、企業ビジョン・ロゴを新たに、次の10年へ向けた取り組みがスタート。じげんグループの中でもいち早くSDGsに取り組むなど、持続可能な事業展開で成長を続けるリジョブだが、その立役者が2011年にじげんに入社し、M&Aによってリジョブ代表取締役社長に就任した鈴木一平(左)だ。創業10周年を機に、これまでのリジョブとこれからのリジョブをどう見つめているのか。リジョブ創業メンバーで取締役の長南岳彦(右)とともに語った。
ベンチマークしていた矢先でのじげんとのM&A
創業10周年を迎えた中で、大きなターニングポイントとなった2014年のM&A当時を振り返っていただけますか。
長南:もともとじげんとのM&Aの3年ほど前に、リジョブメンバーたちと「これから事業効率化を進める上でリジョブがベンチマークするべき企業はじげん」と話していました。そんな中でM&Aの話がきた。ご縁を感じたと同時に、我々が追いつこうとしていた企業に求められたというのは、「自分たちがやってきたことは間違いなかった」という安心感や肯定感がありましたね。
鈴木:私自身は前任の人事異動などのタイミングとご縁で、リジョブの経営者になりました。しかし、じげんに転職する前の会社では倒産を経験しているので当初は「経営者なんて務まらない」と思っていたんです。でも、リジョブの主力事業は、店舗や実際に採用された方々と直接向き合うことができる求人サイト運営。じげんのビジネスモデルと比較して、クライアントやユーザーとの距離の近さにまず惹かれました。そしてサービス開始当時、業界初だった「採用コストを従来の約3分の1~2分の1に抑える独自のビジネスモデル」が個人オーナーを中心に支持され、業界トップクラスの影響力を持つに至った事業推進力。また、その実績や影響力があるからこそ、美容・ヘルスケア業界に携わる方々のプラットフォームとなり、新しい働き方をリジョブが発信していけるという可能性。そういった、業界への直接貢献にチャレンジできるエキサイティングな環境に魅力を感じ、経営者になることを承諾しました。
長南さんは、鈴木さんが経営者に就任した時の心境はいかがでしたか?
長南:それまでのリジョブでは、世界に向けて革新的なビジネスを提供しようというビジョンを掲げていましたが、サイトを運営するメンバーにとっては、ビジョンと日常業務が結び付きづらい、といった点もありました。自分自身も役員として現場のメンバーたちの葛藤も感じる部分がありましたが、M&Aで鈴木がトップになったことで新たなソーシャルビジョンを策定。それにより、ビジョンと日常業務の二つが合致し、それまでの悩みのタガが外れましたね。また鈴木は自分よりも年下ですが「こんなに尊敬できる年下がいるんだ!」と感じながら働くことは、自分の新たな価値観を身につける上ではすごくプラスだと感じました。望んでもそういう環境で働くことは難しいですからね。
鈴木:だいぶ持ち上げていただきましたね(笑)。嬉しくてニヤけちゃいます。
おそらく、当時はいろいろと悩まれていたと思いますが「リジョブとして業界にできることはまだまだあるので、一緒にやりましょう!」とお願いしました。きっと、私のお願いに根負けしてくれたのかな。
全社員との個別面談、合宿…第2創業期から作り上げたリジョブのビジョン
M&A後はどのように組織創りをされていきましたか?
鈴木:私も創業期を何社か経験しているからわかりますが、創業期に必要なのは圧倒的な当事者意識でなんでもやる人です。長南も、当時からオールマイティになんでも幅広く担ってくれています。私が着任してからの“リジョブ第2創業期”も、そうした「新しい組織を自分たちの手で創っていく」という当事者意識や「なんでもやる」空気感を醸成することが大事だと思っていました。そのため全員と個別面談をし、若手から中堅メンバー中心の幹部候補制度を作り、夜な夜な話し合いを重ねました。そこで社内が一枚岩になれたと思います。
長南:合宿もしましたし、自発的に話し合う機会も増えましたよね。でも、そもそもリジョブには「自分の業務・範囲以外のことも積極的にやる」というメンバーが多くいたのもよかったと思います。また、当時アルバイト含めて150名ほどが在籍しており、M&A後も既存のリジョブカルチャーを尊重していただいたからうまくいきましたよね。「じげんはじげん、リジョブはリジョブ」とお互いを侵食しなかった。それでもじげんとリジョブは目標に対する達成意欲や厳しさ、きめ細やかさが全く違ったので、我々としては今まで持っていなかったノウハウや知識が滝のように入って改善された部分はいろいろありました。
鈴木:ひとつのプロダクトをみんなで作るリジョブと少数精鋭のじげんが持っていた、双方の正義をすり合わせて「どうして僕たちはここにいるんだっけ?」と確認し合う作業はとことんやり抜きました。また個人面談をする中で、リジョブが相対する業界全体やリジョブを信頼してくれていたお客様に対して「まだ貢献できることがある」「きちんとまっとうしたい」という想いを一人ひとりが持っていたことに驚かされました。新しい経営体制について云々の話よりも、リジョブの業界に対する役割を一緒に再確認し合えました。結局、ビジョンは後からみんなで創り上げていきましたね。
組織創りで心掛けていることはなんですか?
鈴木:細かく分断された自分の事業領域における自主性ではなく、会社全体における自主性を生み出す機会を創り出すことがとても大事だと思っています。また、私が常にみんなに言っているのは「業界に対して満足せずにもっと貢献できることを考えよう」ということです。今のリジョブはこれまで頑張ってきた過去の努力や功績でしかないけれども、これから先、お客様の期待値はどんどん上がっていく。その上がり続ける期待値に向けて頑張っていこうということは常に言い続けています。
後編では、
取材 / 文 = 秋山悠紀
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