じげん創業15周年にむけて
2021年6月、じげんは創業15周年を迎えます。
企業の存在意義であるパーパスを新たに掲げ、コーポレートロゴ・コーポレートサイトを刷新いたします。
このたび、創業15周年を記念して、ブックライターの上阪徹氏に代表平尾のインタビューをしていただきました。創業からの想いと、今後どんな企業を目指すのか、そして新しいパーパスとロゴについて語っています。ぜひご一読ください。
原点は「OVER the DIMENSION」という言葉
2021年6月、じげんは創業15周年を迎えます。じげんという社名には、ベンチャー企業であるからには、突き抜ける会社を作りたいという思いが込められています。「次」の「元」になるようなものを作っていきたい。「OVER the DIMENSION」という言葉こそ、私たちの原点です。
以来、「生活機会の最大化」を目指し、インターネットを通じて宇宙(せかい)をつなぐプラットフォームを提供することで、社会との調和を図り、共に持続的発展を追求する」という基本理念のもと、社会課題「情報の非対称性」に着目した多様なサービスを世に送り出し、クライアントとサービスのお客さま、双方を結びつけるマーケティング力を強みとして磨き続けてきました。
私たちはこれまで急成長を遂げることができましたが、その背景にはリーマンショック後の新しい時代というタイミング、ウェブ2.0という流れ、そしてデータの重要性が一気に高まっていったという3つの要因があったと考えています。そして加えてもうひとつ、幸運なことがありました。
恵まれた環境で育ったと思われることもあるのですが、実は機会の平等性や格差について自ら実体験を持っていた私は、起業するために大学に入ったのでした。
2つの会社を立ち上げましたが、卒業後に就職という選択肢を選びました。一度、社会に出て、もっと学びを深めたいと考えたからです。そこでリクルートという会社に入りました。振り返れば、この選択が正解でした。
学生起業と大企業への就職、2つを経験したことで見えた景色
創業後の成長期、私たちのお客さまは数十社のみでした。しかも、ほとんどが大企業。小さなベンチャーながらなぜ、それが可能だったのかというと、リクルートという大企業の中で、ベンチャーにいたのでは見られない世界を見せてもらうことができていたからです。
クライアントサイドがどんな状況にあり、何を求め、どんな条件であれば取引につながるのかということを、私は実体験を持って理解できていたのです。そして、ベンチャーの少ない社内リソースを、必要な取り組みに集中させることができました。
また、学生起業を経験していたことで、多くの起業家とのつながりも得ました。そうした方々と交流を深めることができ、起業後もたくさんのアドバイスをもらうことができました。
例えば、上場するためには一つの事業で突き進むことも大事ですが、それだけでは成長を持続させられない、ということもそのひとつ。常に次のことを考えておく。すぐに事業にするかは別にして、布石を打っておく。それこそ、土地を持っておかないと、建物は建たないのです。とりわけ上場後には、ピボットは簡単ではない。
上場してすぐに私たちが二の矢、三の矢を繰り出せたのは早い段階から準備をしていたからであり、M&Aに一気に踏み出し、ドメインを広げることにつなげていけたのも、次を見据えてのことでした。
上場の目的は、非連続な成長を加速させるためのM&A
ベンチャー企業は社内でも新規事業を作ることができます。しかし、当時の私たちが実感していたのは、急速なマーケットの変化でした。自分たちの存在価値が変わる可能性がある。そのためには、すばやく対応する必要がありました。
もとより上場前から、IT企業として難しさを実感していたのは、お金をどう使うか、でした。どうしても投資が不足するのです。しかも、投資しても成功確率が低い。私たちが意識したのは、戦略的な思い切った投資をすることでした。その対象こそが最初のM&Aとなった、リジョブとブレイン・ラボでした。統合後に驚くほどの成功を遂げ、じげんにとっての新たな転機となりました。組織PMIなど、なかなかセオリー通りにいかないことも多いですが可能性を感じています。それ以来ほぼ毎年のようにM&Aは実施しており、前期までに19件、120億円以上を投資しました。これからも非連続な成長を加速させるM&Aには投資していきます。
コロナで見えた、じげんは本当にこのままでいいのか?
成長力を評価いただき、東証マザーズから東証一部への上場にもつながったわけですが、私自身はまだまだだと思っています。これまで当たり前のことを当たり前以上に頑張るしか成功法則はないとは思いながらも、マーケットと真摯に向き合ってまいりました。
そんなタイミングでやってきたのが、新型コロナウィルスでした。コロナ禍においても事業のポートフォリオがあり、何とか収益性を保つことができた一方で、このようなリスクに対しての蓄えはまだ不十分だと認識しました。私はすべて原因自分説論者ですので、業績に影響が出たとしても、外部環境によるものだ、などとはまったく思いません。これをきっかけに経営者として変えるべきことは変える意識も強く持つようになりました。
収益力は高いけれど、これで上場会社として本当に魅力的なのか。利益額にこだわった経営をしてきましたが、もっと成長を見たほうがいいのではないか。
折しも、私たちが最大化に取り組んできた生活機会はコロナによって喪失しています。情報の非対称性に注目してきたけれど、それ以外にも世の中の負はどんどん増え続けている。まだまだじげんがやるべきことはたくさんあるのではないか。
未来を創る会社へ、じげんを進化させる
この1年じっくりと考え、決めたことは15周年を機にじげんの進化をはかることでした。培った実力をベースに、もっと思い切ったことに踏み込む。利益を出し続け、成長を維持しながらもっと投資をする。事業の運用も、もっと尖鋭化させていく。
例えば、美容や介護などの特化型求人サービスというコア事業を全国規模に拡大させていく。事業をメディアで終わらせるのではなく、SaaSのような事業支援型にしていく。もっとダイナミックに広告宣伝を使う。マスへの知名度を上げていく。
組織も進化します。事業家集団養成所のようなコンセプトでやってきて、これが大きな支持を得てきたのですが、それ以外にもやらないといけないことを推し進める。例えば育児や介護、教育などをもっとサポートしていく。
リモートワークなどの新しい働き方にも大きなポテンシャルがあると感じています。社員のみならず、私たちの事業に加わってくださっている方々とのエンゲージメントを高める機会も増えていくはずです。さまざまなオンラインサービスから熱狂の設計も学べる。もっともっとできることがあります。
もともと私たちの事業ドメイン自体が社会性のあるところにフォーカスしていますが、サステナビリティやSDGs、ESG、循環型の地球といったキーワードについての取り組みも、さらに推し進めます。
4月にはサステナビリティ推進室を作り、中期的なステップも意識しながら活動を開始しています。ボトムアップのみならずトップダウンでKPIも設計して、経営と同じようにコミットする体制を作ります。
戦後の日本経済を牽引してきた経営者は、とても高い視点で社会を見つめていました。私はまだまだ若輩者ではありますが、もしかしたらできたのではないか、と後に後悔することはしたくない。これからできる社会貢献を会社としてしっかり意識していきたいと考えています。
そしてグローバル展開です。世界における日本の存在感は、どんどん小さくなってしまっています。これを少しでも変えられないかと思っています。じげんという社名をひらがなにしたのも、日本発のインターネット企業だからです。日本から、世界に向かっていきたい。
現在、アフリカに投資している唯一の上場IT企業が私たちです。グローバルというと欧米に目が向きがちですが、私たちはアジア、中東、南米など、さまざまなエリアに目を向けたい。
人生の始点から終点へ。世界規模で人生の中のプラットフォームを作っていく。そんな壮大な目標を私たちは持っています。日本型インターネットには、日本独特のいいカルチャーがある。そのポテンシャルを活用していきたいのです。
私が創業時からずっと感じていることがあります。それは、実は経営資源は世界中に溢れているということ。世界中に経営リソースがあるのです。それをどんどん広げていく、これからの15年にしていきたい。これまで以上に、伸びやかに。
じげんのパーパスに込めた想い
この進化の象徴が、じげんが新しく掲げるパーパス「Update Your Story あなたを、未来に。」です。「人生の岐路に立つ、すべての人の未来をアップデートする」という意味を持ちます。これまでの15年を振り返り未来を思い描く中で、じげんが世の中へどういった価値を提供していくのか、企業としての存在意義について考えました。
「人生の主役は自分。じげんのサービスをきっかけにそれぞれの人生を進化させてほしい」という想いが込められています。
そして新しいロゴは、じげんの「じ」をモチーフに、頭文字の「Z」を使い、非連続な成長性、社会と共存共栄して持続的な成長を目指す企業に変化していくことを表現しました。
あえて白黒にしているのは、ゼブラのイメージを出したかったから。サステナビリティや共存性を価値とするスタートアップはゼブラ企業と呼ばれます。一方、超成長企業はユニコーンと呼ばれる。私たちは大企業でもないけれど、スタートアップでもないという上場企業。あえてモノクロにし、ゼブラのイメージを持つロゴにしたのは、その2つをミックスさせた「ゼブコーン」企業を目指していこう、という意味合いも含めています。
このタイミングでアップデートして良かった、より強い企業になった、と言ってもらえるよう、これからさらなる努力を推し進めていきます。
引き続き、じげんをどうぞよろしくお願いいいたします。
(取材・文:上阪徹)