リジョブで策定されたプロダクトビジョン、先行きの見えない未来に投じる結び付けたい想いとは(前編)
じげんのグループ会社で、美容・介護領域の求人メディアを運営しているリジョブ。グループの中でも独自のビジョン経営を貫き、創業して11年目を迎えた。コロナウイルス感染拡大の影響を受けたのは、美容業界も例外ではない。そんな中、リジョブの求人サービス「リジョブ」の「プロダクトビジョン」が2020年の11月に策定された。今回は、プロダクトビジョンプロジェクトを牽引した若きグループマネージャー(以下GM)同士の対談。大貫(写真左)は2014年、じげんに新卒入社。M&A後に代表の鈴木と共にリジョブへ出向。現在はマーケティング部門をはじめとする、成果事業グループのGMを務めている。一方の赤羽(写真右)は2012年に創業3年目のリジョブに新卒入社し、トップセールス~大阪支社長、CSマネージャーを経て、現在は掲載事業グループのGMと社長室を兼任。「2年越しのプロジェクト」を見事花開かせた2人。そのビジョンの内側にしっかりと据えられていたのは、「業界貢献」というビジョンと現場を結ぶ「HOW(どのように)」だった。
新しく策定されたプロダクトビジョンに込められた、リジョブの実現したい未来
今回、プロダクトビジョンが新しく策定されましたが、そこに込められたメッセージについて教えてください。
大貫:今回策定した求人サービス「リジョブ」のプロダクトビジョンは、「想いを結ぶ」です。
美容業界で働く求職者の方々と、サロンを経営されるクライアントを、「リジョブでマッチングさせて双方をつなぐ」だけでなく、「しっかりと双方を結び、次のステージへ成長する役割を今後リジョブが担っていく」という想いを込めました。
プロダクトビジョン策定プロジェクトを通して、全部門からの情報を整理したときに見えてきたことがあります。それは、我々の携わる美容業界というのは、皆さん「想い」を非常に大切にされているということでした。求職者の方々は、「目の前のお客さまを喜ばせたい」「綺麗になっていただきたい」という想いをベースに、「もっと高度な技術を身に付けたい」「この街の皆さんを美しくしたい」という理由で転職される方も多いです。
一方で、クライアントはご自身の会社の利益最優先というところは少なく、「自分たちの会社や店舗で働く人たちの地位を良くしていきたい」「美容業界を変えたい」という想いをもっておられる方が多い。「他者への想い」が非常に強い業界だと改めて感じました。
赤羽:そういった素晴らしい業界に「リジョブ」が介在することで、それぞれの想いが叶えられていく。
つなぐ=求職者と採用するクライアントをくっつけて終わりではなく、しっかりと双方が結びつくこと。皆さんの想いを「未来につながるマッチング」という形にしてお届けすることを実現していきたいと考えています。
リジョブのソーシャルビジョンも、「人と人との結び目を世界中で増やし、心の豊かさあふれる社会を創る。」ですよね。そのあたりも強く意識されたのでしょうか。
大貫:ソーシャルビジョンの改定と、プロダクトビジョンの策定は並行して行われていたプロジェクトだったのですが、リジョブのCI(コーポレートアイデンティティ)が浸透してきたからこそ、結果的に双方で「結ぶ」という同じワードが出てきました。マネージャー陣と経営層の考えていることが同じだったことが、正直すごいことだなと思いました。
ちなみに、リジョブではコーポレートビジョンでなく、社会とのつながり・世界との双方向性を意識した「ソーシャルビジョン」を、日本語版・英語版ともに定めています。
リジョブという大きな船で課題に向かうために、立ち返れる場所としてプロダクトビジョンを掲げた
そもそも、どうして今回プロダクトビジョン策定のプロジェクトは立ち上がったのでしょうか。
大貫:前提にはなるのですが、リジョブはCIを大切にしている会社で、ソーシャルビジョンの他にリジョブスタイル(組織カルチャー)とビジネススタイル(事業コア)があります。ビジネススタイルは「社会課題・業界課題を事業を通して解決する」というものです。
リジョブメンバーは、「自分が関わる業界の課題を解決したい!」とみんなが思っていますし、美容業界は人材課題がまだまだあります。
リジョブが参入する前の美容業界は、「お金をかけてまで求人を出す」ということが今よりももっと浸透していませんでした。《良い人材が入らない→顧客が増えない→店舗の経営がうまくいかない→やむを得ず事業をたたむ》という悪いスパイラルも存在していました。
美容業界に特化した求人メディアとして「リジョブ」が参入し、じげんグループジョイン後は、定量的な事業目標へのコミットメントに集中し、事業を4~5倍に成長させてきました。「リジョブを使えば採用できるようになる」ということが業界全体に広く浸透してきたのは、2年前ですね。
事業として成熟してきたこのタイミングで、「我々がしたい業界課題の解決、“業界貢献とは具体的にどういう貢献なのか”という部分を事業部門全体ですり合わせ、それを軸にプロダクト改善をしていきたい。」という声があがり始めたのが今回のプロジェクトを始めるきっかけでした。
赤羽:リジョブのビジネススタイルである「業界課題を事業で解決したい」という想いは会社全体で持っていたものの、「じゃあ美容の業界課題は具体的に何なのか?」を議論してみると、それぞれの想いや考え・業界への課題感の方向が一致してはいませんでした。
事業成長し会社が大きくなっていく中で、事業全体の方向性と毎日のアクションの紐づきをより強化していきたいと考え、まずは経営陣とGMで、各部門のミッションをつくりました。当時は、目の前のお客さまや求職者の課題に向き合えるものをつくろうと、部門ごとで切り分けて設定したんです。ミッションができてからは、それに向かってメンバー達も真面目に取り組むのですが、それはあくまで《部分最適》であって、各部門がKPI/KGIに集中する構図になりました。そこからさらに事業成長が進み、部門別ではなく、プロダクト全体での課題解決を統一していく段階になりました。
それが今回。経営陣を除いたマネージャー陣(GM・チームマネージャー10名程)で、プロダクトビジョン策定プロジェクトをスタートさせました。
「業界課題を解決するために、どういうプロダクトでありたいのか?どうやって課題を解決していくか?」
会社の掲げる「業界貢献」というビジョンに対し、「HOW(どのように)」の部分を徹底議論しました。日々の仕事を過ごしていると、どうしてもそれぞれの手元足元に目線が向いてしまいますよね。そんな時にも見失って欲しくない、立ち返れる場所をつくりたいと思ったんです。
これは大貫がよく言っていた言葉ですが、「“求人サイトリジョブ”という大きな船に社員みんなで乗って、課題に立ち向かっていく必要がある。だからこそ、それぞれがふとした時に見上げれば立ち返れる、大きな帆を打ち立てよう」という文脈から、プロダクトビジョンの策定に至りました。
妥協を許さないチームマネージャー達の存在が、プロダクトビジョンを強固なものにした
10名以上での議論だと、なかなか決まるまで時間がかかりそうです。どのくらいの期間みなさんでお話されたんでしょうか。
大貫:トータルで数十時間は議論していました。ビジョンの「想いを結ぶ」という大枠はスムーズに決まったものの、その後が結構大変でしたね。具体的なアクションに落とし込む段階で、チームマネージャー達が「自分はこう思う」「私はこうだと思う」と、白熱し始めるんです。現場のみんなはそれぞれプライドを持って仕事をやっていますから、当然です。誰も折れないんですよ (笑)。だんだんファシリテーターの私も熱くなってきて、さらにまとまらなくなる。なんてこともありました。
赤羽:そうでしたね。それで私が入って「はい!これ決めよう!」と仕切りに入る。という流れです(笑)。
「みんなで決める」ということにリジョブは常にこだわっている印象です。他にもこだわったことはありますか?
赤羽:そうですね。今回は「マネージャー全員で決める」ことにこだわりました。
現場でプロダクトを支え、まとめてくれているのはチームマネージャー。彼らの想いをしっかりアウトプットに乗せたかったので、今回のプロダクトビジョンはGMとチームマネージャー達だけで決めることに最後までこだわりました。11月の創業イベントで発表した際も、代表の鈴木からではなく、GMの私たちからメンバー達に発表しました。
そのときのメンバーの皆さんの反応はいかがでしたか?
赤羽:その場で受け入れてくれた印象でした。「ビジョンだけを掲げて、終わり」ではなく、具体的なアクションとのつながりをしっかりと伝えたことが良かったのかもしれません。ビジョンを持って仕事をする情景が、どんなものなのかをメンバーがイメージしやすいように、出来る限り寄り添うことを意識しました。現場の痛みや喜びを理解しているチームマネージャー達がプロジェクトにいなければ、うまく伝わらなかったと思いますし、強いプロダクトビジョンをつくることはできなかったと思います。
現場ではそれ以降、議論する際にメンバー間で、「それって結べてるのかな?」「ユーザーには良いかもしれないけれど、クライアントとサービスが結べてないよね」など、「結ぶ」というワードが少しずつ浸透してきています。
後編では、コロナ禍における美容マーケット、リジョブ流の働き方について語ります。
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