業界と本気で向き合い、全員で価値をつくる リジョブアワードの取り組みとは(後編)
今春発表されたリジョブアワード。今年で4回目となる本アワードは、リジョブが掲げるSPA構想の中の「活躍支援」の取り組みのひとつであり、全社横断型の重要なプロジェクトとなっている。
前編では、リジョブアワードプロジェクトメンバーの4名にアワード実施の経緯、リジョブアワードにかけるPJTメンバーの想いについて語ってもらった。
後編では、おもてなし業界の組織づくりに関する変化、リジョブのチームビルディングについて話を聞いた。(写真左から武藤、五月女、角田、丸谷)
アワードは、「ナレッジシェアの場」 業界のダイバーシティを後押しする側面も
組織の在り方・働き方も多様なスタイルが広がってきています。おもてなし業界における、雇用主と従業員の関係や働き方、お店の組織づくりの形はどのように変化してきていると感じていますか。
武藤:ここ数年の変化は私たちもとても感じています。コロナ禍を経たというのももちろんあるとは思いますが、「働き方」「働く場所」に関するリテラシーの向上については特に感じています。それまでは、世の中の「働き方」がどんどん多様化する一方で、私たちが向き合う業界はリテラシーが低いと言われていました。
その業界課題に、リジョブは「求人」という切り口でアプローチをしてきたわけなんですけれども、アワードの第1回目から、実際にさまざまな働き方や組織づくりに取り組まれている他の店舗のナレッジをシェアできるようになったと思います。
訪問やインタビューを通して直接お話を伺う中で、皆さん「どうやって改善をしていけば良いのかが分からない」状態だったんだなと感じています。おそらくこれまでも私たちのような他の業界・業種、第三者の方から情報提供やアドバイスを受けることはあっても、「どう再現するのか」が難しかったのではないでしょうか。
アワードを通して、同じような規模感や自分たちよりも厳しい環境下にいらっしゃる店舗さんの事例を見ると、ご自身の店舗でも「やってみたい」「取り組めそう」と思っていただけるようです。アワード受賞サロンの紹介記事をご覧になって、産休明けのスタッフさんの働き方のルールを新たに設けたというお声もいただきました。
本当に少しずつですが、私たちがアワードを通して伝えたいことが伝わっているな、つくりたい世界に近づいてきているなと感じています。
リジョブが関わる業界では、若手層の定着率も課題ですよね
武藤:そうですね。お客様からもそういった声をいただくことは多いです。
ですから、若手だけに頼らず幅広く色んな層にアプローチできるよう試行錯誤をしています。例えば美容業界ですと、免許は持っているが別の仕事をされている休眠美容師や第二新卒層にも目を向けたりしていますね。今現役で働いている人や、新卒層以外の人とも接点が持てるようなサービスとして「リジョブ」が重宝いただけているなと感じています。
リジョブの強みはチーム力 リジョブが掲げる「経営者視点」とは
業界の変化についてお話いただきましたが、リジョブのチームづくりや組織づくりの変化はここ最近で何かありますか。
武藤:取り組み自体の幅が拡げられてきたなと思います。アワードプロジェクトを例にあげてお話をすると、第1回目のアワードのときは一定の層(マネージャー層)が主体となってチームを構成していましたが、今回は若手メンバーかつ部署も違えば、持っているミッションも全く異なるメンバーで構成されています。
それぞれの角度からアワードに取り組んで、全社投票でオープンに関わってもらうことでより良い体制をつくることができました。
リジョブでは、ひとりでは対峙できない社会課題や業界課題解決を実現するために、一人ひとりの人間的成長とともに「チーム力」を非常に大切にした組織づくりをしています。このチーム力の要となるのが、チームを構成するメンバーひとりひとりの「経営者視点」です。「経営者視点」は、社内であればチームメンバーや他部署、社外であればクライアント様、求職者様、その先のお客様、地域の方々といった、関わる全てのステークホルダーや事象に対し「境界線をなくして自分事として捉え、対峙した結果を自分の責任として受け入れる力」すなわち当事者意識の幅が究極に広がった状態、全体性を捉える力、と言えるかもしれません。
目指すのは、「想いが強い」「みんな仲良し」というようなマインド部分だけではなく、その想いを形にし、業界貢献に結びつく「価値のある分業」ができるチーム。一人ひとりが自分の業務を推進しながら、全体を当事者意識をもって考えられ、行動するようになることで、想いがしっかりと循環していく状態を目指しています。そんな、我々の一方的な発信ではなく、掲載店舗の利だけでも・リジョブの利だけでもない「本質的な三方良し」を体現できた取り組みのひとつが、今回のアワードプロジェクトでした。
丸谷:私自身、リジョブアワードに関わるのが3年目になりますが、アワード推進チーム自体の進化を実感しています。推進メンバーとして参加した初回は、マネージャーが旗を振って意思決定し、メンバーは割り振られた業務を必死でこなすといった状態でした。2回目の推進リーダーを経て今回、推進マネージャーを担ってはじめて、他の全社プロジェクトとの優先度調整など、いかにこれまでのマネージャーが担ってくれていたものが大きかったのかを感じました。また、推進マネージャーとしての責任とは「自分が全てを実行すること」ではなく、「チームとしてミッションを完了させること」なのだと実感しています。
今回、推進チーム全体で「リジョブアワードも、業務ミッションも、どちらも諦めずに成果を上げる方法を考えて実行すること」を心掛け行動し続けたことで、参加メンバー全員の視点の広がりとともに意欲や主体性を感じることができました。結果的にはすごく全員が成長できたプロジェクトだったんじゃないかと、次回以降もとても楽しみです。
五月女:視点の広がりの話が出ましたが、実は新卒向けの説明会でも「経営者視点」の話をさせてもらっていて、それに共感してくれる人たちが入ってきてくれています。想いをしっかりと一人一人が発信して、自らの範囲を広げ、循環させることはアワードプロジェクト推進や事業のみならず、採用活動においても、組織づくりにおいても体現できているように感じますね。たとえばチームリーダーの定例会議では、「自分」「自チーム」という範囲からそれぞれが当事者意識の幅を広げて、「組織がどうあるべきか」「自分たちは何をすべきか」「どう浸透させていくのか」を各リーダーが集まって、熱く語っていたりもします。メンバー時代の「いかに自分が成長し、自らの範囲を広げるか」から、リーダーになり「いかにチーム全体の範囲を広げるか」へと、私自身の視点が変化したように思います。
リジョブは同じ役職・階層の方々がとても活発に議論されている印象があるのですが、それは会社の方針ですか?
武藤:あくまで、自分たちの「マネージャー会をやりたい、やろう」から始まっています。業務上のトラブルを経験した上で行きついた形ではあるのですが、「しっかりと連携するために」ということからスタートしていて、「何となくつながる」のではなく、「つながることでスピードやアウトカムの精度が高まる」ことを目的としています。リーダー会はそのマネージャー会から派生して発足しました。
五月女:リーダー会では若手メンバーが多いので、それぞれの悩みや「どうメンバーと向き合うべきか」などを話し合ったり、フィードバックし合ったりしています。互いに刺激をし合える会ですね。もちろん、フォーカスしたいアジェンダがあれば、優先的に取り組んで、会議もみんなでつくっていくことを大切にしています。
丸谷:リーダー会は、互いの失敗や成功事例のシェアをする、一種のナレッジ共有の場でもありますね。仕切りも持ち回りでやるようにしています。チームの報告会や共有会がベースですね。通常業務では関わりの少ない他チームのリーダーともグループディスカッションをしたりするので、リジョブ全体に対する理解認識も深まりました。
武藤:マネージャー会では、アジェンダの内容も、事業に集中するときと、組織や文化の話に集中するときに分けて話していますね。事業/組織の両輪を廻していけるよう四半期に最低でも3回ずつは話すようにしていて、マネージャー間で温度感を揃えていくような動きが定着してきましたね。
チーム力の要は相手との丁寧なコミュニケーションと、想いが還る場所
Moreリジョブのチームもユニークだとお伺いしたのですが、いかがですか。
角田:そうですね。Moreリジョブをつくる私たちの組織は、ものすごくダイバーシティが実現できていると思います。現在はアルバイトを含めて5人のチームなのですが、マネージャーは福岡在住ですし、業務委託のメンバーは子育てしながらの完全リモート、社員の私とあとはアルバイトスタッフで構成されています。みんなが同じ拠点や立場でスタートしていないチームなので、これまで本当に紆余曲折ありました。今が1番チームとしての結束力が強い状態だと思います。全く異なる価値観をそれぞれが受け容れ、チーム内(同士)でシェアできるということ自体が、(だんだんと)強みに変わってきたと思います。
Moreリジョブ BEAUTYのサイト。このほかにMoreリジョブHEALTH&CAREも運営している。
リモートで働くスタイルが一般化する一方で、コミュニケーションに悩まれる方も多いように思いますが、Moreリジョブのようなチームはどのようにして今の形になりましたか。
角田:私自身、これまでは上司が同じ拠点にいることが当たり前だったので、最初は「リモートでどう信頼関係を構築するか?」に悩んだ時期がありました。
色々悩んでいたときに、他のチームのマネージャーから「相手に求めるだけでなく、角田くんが変わることをまず始めたら?でないと時間がもったいなくない?」と、サラッと一言アドバイスをいただいたんですよね。それまで、「マネージャーはこうあるべきだ」「こうして欲しい」ばかりを考えていて、甘えていたんだと思います。その一言でハッとして、自分にも相手にも素直に行動をするようになったら、マネージャーが抱える成果に対する責任感やチーム構築への葛藤も徐々に理解できるようになり、自分の意識の範囲が広がった実感がありました。今ではお互い、チームとして目指す方向性やミッションが腹落ちしており、そこを目指す上で不安や疑問に思うことも、言い合えるような関係、対話をベースに成長していくチームになりましたね。
大阪で働く丸谷さんは、どのようにして工夫をしていますか。
丸谷:私は大阪支社で働いていますが、チームとしては東京所属なんですよね。今のチーム立ち上げのときに東京にしばらくいて、そのあと大阪に戻ってからは、1on1の頻度を増やして自分から情報を取りに行き、マネージャーと積極的にコミュニケーションの場をつくる動き方をしています。リジョブアワードの推進チームでも同様に、常に「何のためにやるのか?」をぶらさず、顔が見えないからこそ積極的にコミュニケーションを図ったり、「なぜ?」という疑問や不安をそのままにしないよう意識しています。もちろん、リモート故の課題はありますが、少しずつ変えていくことはできているように思いますし、他拠点だからこそできることに面白みとやりがいを感じています。
五月女:リジョブアワードは全社横断型のプロジェクトですが、参加メンバーがリモートであっても同拠点であっても、リジョブはみんなの「業界を良くしたい」という想いが強い分、ぶつかることも多いですよね。自部署のミッションに向き合う時も同じです。でも、みんなが最終的に持っている想い・目指す方向性は同じところなので、きちんとまとまっていくような形になっています。
武藤:例えば事業推進において、ユーザー側であれば求職者目線が強くなり、クライアント側であれば掲載主の想いに寄り添ってしまいます。それぞれが自分の業務に邁進するだけで成長出来ていた時期も、これまでにはありました。
ですが数年は、当事者意識の幅を広げ、全体性を考えらえるメンバーが育ってきたことで、「業界貢献」という目的に対して、より建設的な議論が出来るようになりました。それぞれが最終ゴールを認識し、互いのニーズをきちんと整理することで、自然と同じ方向を向けるようになりましたね。私のチームの事業計画も、マネージャーが全てを決めるのではなく、各セクションのメンバーが主体的に向き合い、一緒につくるようになってきました。
今回はリジョブアワード推進チームを紹介いただきましたが、リジョブ全体が「美容業界に持続可能な発展をもたらすため、採用コストの削減とマッチングの精度を高めることを目的に、社内では全体最適前提での分業制をとる」というビジネスモデルと連動した、ひとりひとりが全体性を考えつつ、主体性を発揮して成長するチームに変わってきたと感じています。