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じげんのビジネス

Update ZIGExN 新・社外取締役 守安功×代表平尾 スペシャル対談【後編】

07.07.2021

2021年6月、じげんの経営体制が大きく変わります。今回は新しい社外取締役のひとり、DeNAで20年間経営を支えてきた守安功と、代表平尾 IT業界最前線2人による対談を前後編でお届けします。後編では、企業の多角化経営から、日本のIT業界の未来、ニューノーマルにおける働き方など、幅広く語ります。
前編はこちらから

高い目標を掲げ続けることが、企業の成長を支える

守安さんも、多角化経営をされてきましたが、コツなどはあるのでしょうか。

守安:多角化しないでいいなら、しなくていいんですよ。コア事業があって、それを伸ばしていける道筋があるならそれでいいと思っています。あえて多角化しようと思ってしたわけじゃありません。色々なサービスに興味があるのは事実だけど、ひとつの事業で何十年も伸ばせるならあえてする必要はありません。

私の事例でお話しすると、最初につくった事業がオークションサービスです。ガラケー時代につくったサービスなのですが、当時は今と違って、モバイル層はPCユーザー層と切り離されていました。モバイル層にはすごい熱量で最初の1年間の出品数・取扱高は完全にミートしていたのですが、そのあと止まり始めました。モバイル層が、PCを使うようになり、PCユーザー層で定着していた他社の競合サービスの存在に気付いて、吸い込まれるように持っていかれました。
当時の会社の目標が5年で売上高1000億円というものだったのですが、そうすると、他のことをやらないといけなくなるんですよ。高い目標を達成するために、他のことをやらざるをえなかったんですよね。

平尾:非常に興味深いですね。ディフェンシビリティという言葉も出てきていますけど、そういうことは考えなくてもいいのでしょうか。

守安:会社や事業のフェーズにもよりますが、少なくとも上場していなかったら二の次ではないでしょうか。

平尾:まずはちゃんと金メダル狙えということですよね。

守安:上場して100億円のままでいてもしょうがない。もうそっちにいくか潰れるか。そんな簡単なことは言えませんが、成長することを求められてやってきているんだから、成長しないならディフェンシビリティをやっても、そこに本当の価値はあるのか、と思ってしまいますね。

「自分たちがどんなことで伸ばせるのか」を理解することが、強い事業をつくることにつながる

メガベンチャーとして多角化されてきた中でその先のストーリーはどんなものだったのでしょうか。

守安: 20年間やってきてつくれなかったのは、インフラに近い、世の中ほとんどの人が使っているサービスですね。そこまで広げられる事業はやっぱり強いんです。

ゲーム事業をそうできるように尽力してきましたが、ガラケーからスマホにシフトして完全にチェンジされてしまいました。そういう事業をつくりたいという気持ちはあるし、その事業をつくらないと1兆円は見えませんよね。国内だけではなく、海外のSNSサービスをつくっている企業なんかもすごいなと思います。

平尾:スーパーアプリがでてきているのは、まさにその世界ですよね。母艦になるかならないかって、何で決まっていくのでしょうか。ゲームアプリは、中国の方でもコミュニケーションアプリ以上に使っている方は多かったと思います。人口対比の問題なのか、フリークエンシーなのか。みんなが使うものじゃないとダメなのでしょうか。

守安:to Cサービスはそうだと思いますが、to Bになると知名度はそれほどなくても、大きな業界の中のBをおさえてしまえば何とでもなると思います。to Cであっても富裕層向けだけに振り切るやり方もありますし。ターゲットの中でのシェアが重要じゃないでしょうか。

平尾:守安さんが前職にいらしたとき、社内で色々と議論されていたと思うのですが、今現在、to B向けのDXの波がきていますよね。その中でto C向けに相当張っておられて、ネットビジネスの花形は今もそうだと思うのですが、to Cとto Bでどっちがすごいみたいなものはあるんですか?

守安:社内でもそういう話はありましたね。前職でヒットするのはかなりエンタメ系が多かった。でもto B事業が苦手なわけではありませんでしたし、その方が積み上げられる。
本質的にはto B事業もできるのですが、なんだかんだ、私が手掛けて立ち上がるのはCが多いという不思議。(笑)。
じゃあto Cだと全部伸ばせるかというと違っていて、やってみてわかったのが、コンテンツやクリエイティブ勝負になってくると私の力では限界があるということですね。これまでやってきたエンタメ系と言われるサービスも、ある種のプラットフォームサービスだからデータを見ながら変えていくことができました。

例えば、映像にしても「大作映画をつくろう」と言われると勝てる気はしないけど、サブスクリプション型の動画配信サービスのポジションを早めにとっていたとしたら、伸ばせたと思います。コンテンツ屋さんなのかプラットフォーマーなのかで違う。私たちは、プラットフォーマーなので。

平尾:それって歴史上もありますよね。

守安:ありますね。色々な企業がゲームに失敗されているのも見てきていますが、事業特性が違うんです。ゲームはヒットするときもあればダメなときもある。その特性を理解しないで、ほかの事業と同じ伸び方を求められるとできるわけがないんです。
そうすると、1本ヒットして次が続かないと潰される歴史になっているんですよね。
上手な企業は、最初から特性を理解したうえでやっているな、と思います。

世界に通じるビジネスを、日本からも

海外企業のお話がありましたが、お二人は最近のビジネスの潮流をどのようにとらえてらっしゃるのでしょうか。

平尾:海外を見た上でto B・to Cビジネスの将来ってどう思われていますか?

守安:SaaSは今ブームになっているので、ある種のバブルのようなものを感じています。私も、ソーシャルゲームが流行しているときに上場しましたが、あれに近いものがあるなと。SaaSは今色々なものが出てきて、海外の強いところが競争して…その競争の中で勝てるかというと相当強くないと難しいと思いますね。どこか強い集団を誰かがつくりに行かないといけないと思っています。日本でも大手同士がグループになって勝負しているけど、ああいう戦い方が対SaaSの大手とできるかもしれない。そうしないと、バリュエーションも見直されて海外の強いところがきた時に結構辛くなるかもしれませんね。

コロナの影響、会社を取り巻く環境、変わりゆく時代の中でも情熱をもって取り組んでいきたい

守安さんはDeNAを退任されて、どのように過ごされる予定ですか。

守安:7月から9月は都心から離れて、自分が何をしたいのかを見直す期間にしようと思っています。どういうことがしたいのかをゼロから考えたい。今はあえて決めないようにしていますね。東京にいて、色々な情報が入る中で決めるのではなく、そうじゃない環境に身を置いて決めてみようと思います。10月くらいからどこかに入るのか自分で立ち上げるのか考えているけど、その生活が楽しくなったらもう少しゆっくりするくらいの幅を持っています。

平尾:今もいろいろなオファーが来ていると思いますが、何を軸に意思決定されますか?

守安:1兆円規模の事業をつくれるのかとグローバルに出て行けるのかというのを軸にしていましたが、本当にその軸でいいのかどうかも見直そうかなと。これまでひとつの方向を向いて生きてきたので、本当に自分のやるべきことはその方向なのかどうか、良い意味で広げる時間にしていきたいと思っています。

平尾:コロナで会社の概念や仕事が変わっているタイミングになったかと思いますが、アフターコロナの会社はどうなっていくと思いますか?

守安:働き方は自由になってくると思いますけど、本当の意味での人の⼊れ替わりはなかなかできないと思います。高度経済成長期に確立した終身雇用の仕組みが、ダメになった会社からいい会社へ人の流動化を妨げている印象です。コロナで少しは変わると思いますが、日本はなかなか変わらないんじゃないかなと思いますね。

平尾:電車の本数を減らしたら余計に満員電車になるくらいですからね。
IT業界だとリモートワークなどもできていますが、日本全体で見たら動かせない会社も多いようですし、終身雇用やメンバーシップで人が動きにくい。我々マイノリティが変わってもマジョリティは変わらないということですかね。

守安:そうですね。本当は国力を考えるといろいろ変えなければいけない。法制度周りもそうだし、あとは働き方の概念。やりたい人がやりたいだけ働けないという状況はもどかしいなと思います。

平尾:一律にすることで個人のやる気を削いでしまう、やりたくてもどうしようもないという現状を我々がなんとかしていかないといけないし、時間じゃなく質でも勝負しなくちゃいけないと思うのですが…。

守安:仕事の質を上げるためにも、まずは基礎のタイミングで一定の量は必要です。若いうちに素振りをどれだけやるかは大事だと思っています。(笑)。

平尾:本当にそうですよね。守安さんでも素振りをちゃんとやっているのだと今日改めて思いました。
コロナの影響もありますが、若い人たちが学べなくなっていますよね。若い人たちが成長できる環境をもっと頑張ってつくっていこうと、今さらですがコーポレートユニバーシティのようなものをやってみようと考えています。オンライン授業のようなものをたくさん準備していこうかと。「会社は学校じゃないのだ」と言われても、学校化しないとあまりにも教育機会がない。リモートで先輩のマネもできないし、どうしたらいいですかね。

守安:1番いい教育は、最前線を経験させることですからね!

平尾:修羅場を与えよということですね。いやいや、とってもいいですね。刺激になります。本日は有意義な時間をありがとうございました。これからもご指導のほど、よろしくお願いします。


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