Follow US
facebook twitter
NO. 100
BUSINESS
じげんのビジネス

Update ZIGExN 新・社外取締役 守安功×代表平尾 スペシャル対談 【前編】

06.30.2021

2021年6月、じげんの経営体制が大きく変わります。今回は新しい社外取締役のひとり、DeNAで20年間経営を支えてきた守安功と代表平尾、IT業界最前線2人による対談を前後編でお届けします。前編では、守安が今後どのようにじげんの経営に携わっていくのか、じげんの第二次中期経営計画「Z CORE」について語ります。
後編はこちらから

2人が初めて顔を合わせたのは、10年前に遡る

守安さん、平尾さんはずいぶん前からお知り合いだったのでしょうか。

守安:知り合ったのは10年くらい前のイベントでしたね。2人ではないけど、何人かでご飯は食べに行きましたね。

平尾:そうですね。

守安:当時の若手の方は、どちらかというと控えめなキャラクターの人が多かったのですが、平尾さんはグイグイ来るアグレッシブなタイプ。体育会系な雰囲気が面白いなという印象でした。

平尾:ありがとうございます。(笑)。どうして、今回社外取締役をお受けいただけたんでしょうか。

守安:今年2月にDeNAの代表退任を発表しましたが、個人のSNSでお伝えした時に、みなさんから「驚きました」「お食事でもしながら、今度お話聞かせてください」という割とゆるやかなメッセージが来る中で、平尾さんだけは「じげんの社外取締役になってください!」といきなり連絡が来まして。いきなりド直球で、さすが平尾さんだなと思いました。(笑)。そうこうしているうちにオンラインでお話をして、じげんの状況や今後の目標を語ってくれて、「これは無謀だけど面白いな」と。

平尾:ありがとうございます。

守安:今の潮流と逆なのかもしれないんですが、高い目標をやっぱり掲げていかないとね。現状を含めて、そこまで言うなら協力したいなと思ったんです。

平尾:私の界隈で「なぜ守安さんが退任したのか」という話題で盛り上がっている中、「これはすでに守安さん争奪戦が始まっている」と確信して、気づいたらメッセージを送っていました。(笑)。

守安:行動力がハンパないですよね。普通は知り合いだとしても、探りながらオファーを出すのが通例。直球で来てくれるのは気持ちがいいですよね。

平尾:直球過ぎて、未だに先輩方にはよく怒られています。(笑)。ちゃんと状況や背景をうかがって来なさい、と。
守安さんのような、あれだけのメガベンチャーを経営されてきた方に入っていただくのは本当に光栄です。私も含め、じげん社員は緊張していると思います。

守安:20年間やってきて、全盛期と比べたらだいぶ丸くなったと思いますよ。でも社長ではないので少しギアを変えてもいいかなと思っています。

平尾:20年間も続けてこられたのは素直にすごいと思いますし、そういうご経験も含めてこれからよろしくお願いいたします。

じげんについて、どんな印象をお持ちでしたか。

守安:平尾さん自身はイケイケのアグレッシブ系、という印象を持ちながら、事業は手堅く積み上げている、ある種のギャップを感じていました。ちょっとずつ積み上げて伸ばしていっているように思います。一方で、界隈には「平尾丈」や「じげん」は知られているけど、そうじゃない人たち(=非IT系の方々)がどこまで知っているかは未知数でしたね。
社外取締役のオファーをいただいてからは、コアな事業は課題があるので、そこを変えるために役立ちたいなと思っています。ギアを変えることが必要になってくるかなと、考えています。

じげんの第二次中期経営計画「Z CORE」はどう映ったか

じげんの中計「Z CORE」について

平尾:今回、15周年を機にコーポレートロゴから、パーパス、中期経営計画の発表をさせていただいたのですが、守安さんからいただいたアドバイスもエッセンスとして取り込ませていただきました。これまで15年間、たくさんの方からアドバイスをいただいてそのまま実行することはあまりありませんでしたが、守安さんからいただいた言葉を何度も反芻して、反省をたくさんしましたね。

守安:やっぱり「この目標はちっちゃいだろ」と。(笑)。

平尾:すみません。

守安:事業は営利で100億円を超えてから事業と呼べる。中期経営計画で発表した「Z CORE」の次を目指してほしい。「Z CORE」より1段階上の目標をちゃんとつくることで、数字だけではなく、市場のシェアをグッと取ることができるはずです。今よりももっと大きな広がりを持てる事業をつくっていくことで、よりその先が見えてくる。数年で「Z CORE」もしっかりとつくりながら、その先をどうつくっていくのかを常に置いておく。そこが見えた時に、リソースの在り方もギアチェンジしていく必要があるとアドバイスさせてもらいましたね。

次なる高みを設定して、そこを意識していかないと事業は苦しくなると思いますし、どうしてもこじんまりとしてしまいます。苦しみながらも見出して、それが見えた時に大きく加速させ、張っていくことが必要だと思いますね。

具体的に、どんなアドバイスをされたのでしょうか。

守安:今回の計画を拝見しましたが、自社の強みやこれまでやってきたことを踏まえて積み上げていっていて、素晴らしいと思います。
その中でどう角度やポテンシャルが違うところを見つけて張っていくかが今後のキーになってくるということを伝えさせてもらいました。
ひとつの正解があるわけではありませんが、私は相当データをみる方です。
同じ角度で成長していても、裏にあるリピート率やお客さんの増え方などでポテンシャルは大きく変わります。「これはいけそうだ」と確信が持てた時に、どれだけ張っていけるかが重要ですよね。じげんは40以上のサービスをやっているじゃないですか。みんなそれぞれ本気で取り組んでいるはずです。それはどれも重要。ただ、経営者はさらにひとつ上の視点を持って、その中から勝ち筋を描けるものを探し出して、視点を変えて実行に移していくことが必要になってくると思いますね。

平尾:守安さんのおっしゃる「勝ち筋」の見つけ方は、どのあたりがポイントになってくるのでしょうか。過去のご事例で何度もそれを見つけて、事業を伸ばされていると思うのですが。

守安:事業によっても違いますが、例えば、初期段階の売上データの伸び方、成長曲線の美しさなど、伸びる事業はピンとくるものがあります。様々なデータを駆使し、リピート率やユーザーの自然流入率の伸びなどから、いくつかシミュレーションを立てると、売上が100倍、営利で25倍~30倍まで到達するのが明白な事業も出てきます。

守安功流・「事業のつくり方」

平尾さんはこれまで守安さんの登壇イベントなどもご覧になられていると思いますが、印象的なものはありますか。

平尾:守安さんが以前、事業のつくり方は3つあるとおっしゃっていました。新規事業のつくり方は、オーガニックでつくるもの、M&Aでつくるもの、大手企業と手を組んでつくるものとおっしゃられていたのが印象的です。

守安:ゼロ→イチのほうが難しいですよね。すでに始まっているサービスのほうがデータもあるし、わかりやすい。ゼロからつくるほうが大変で、そこは色々な手法で数があるといいと思います。

平尾:オーガニックは立ち上げで時間がかかったり、M&Aだと、その会社の経年数に準じて痛んでいたり、のれんもありますし。ジョイントベンチャー(以下JV)も大変ですね。大企業とのJVは頑張ったとしても難しい場合が多いと思いますが、守安さんはその難しいJVをどういう風にやられていたのでしょうか。

守安:大企業とやるときはJVにこだわる必要はないですよね。そこは柔軟にやるべきで、事業提携でもいいと考えています。
とはいえ、やはり大企業と手を組むことは簡単ではありません。色々な考え方を持っている人がたくさんいる中で、どう入り込むか。彼らだけではできないことを、自分たちがどう補完していくのかがとても肝心です。ありがたいことに、これまでご一緒させていただいた中には、歴史ある業界最大手の企業もありました。彼らはものすごく強いので、その企業が持っている強みをレバレッジして何をやるかということを考え抜いていました。

平尾:僕は1社と組むよりも複数と組んだほうが、という考えですが、絶対に他社とは組まないことで有名なゲーム企業とも組まれていましたよね。

守安:それまでいくつかのゲーム企業とやってきた経験が活きた部分もありました。アグリゲーターの価値は、色々なものを集めるところにあります。全部ないと価値にはなりません。そこも含めて、業界をリードする企業が「組もう」となった時には、その企業が入っているからこそ巻き込めることもありますし、新しい景色をつくることができると思いました。
もちろん、同じ領域の中で企業ごとの力関係はもちろんあります。「その企業が入ったら嫌だ」という意見もあったと思いますが、その大手企業が持っているサービスがリスペクトされていて、その企業が入るようなプラットフォームがあれば、事業の立ち上げ方としてはプラスになるはずです。やったほうがメリットは生まれますし、「それ自体に価値を持てば続けられる」と納得していただけるといいと思います。

平尾:守安さんにお伺いしたいのですが、最初に盛り上がっている時は「やりましょう!」となっても、最後のところで「やっぱり…」という感じになって、しぼんでしまった案件もあるのでしょうか。

守安:もちろん。決裂もありますし、契約はやっぱり大事です。理念や思想も大事ですが、なんだかんだ3年、5年経つと担当者も、経営者も変わります。そうなると立ち戻るのが契約書。主張できるものがないとなかなか厳しいですね。ちゃんとした契約に落とし込めないまま、話だけ進んでしまい、失敗する例もよく耳にします。

相手をよく知ることが、プロジェクト成功の要

他社とのアライアンスで特に難しいことはなんでしょうか。

平尾:私も大企業にいたのでイメージはできるのですが、外部からでは、どなたがキーマンかを知ることってかなり難しいと思っています。大企業と組むときのコツはあるのでしょうか。

守安:ベンチャー企業の場合は社長をおさえればいいですが、大企業の場合、部門ごとの力関係や適切なルートは必ず存在しています。それを含めて相手を理解することは、非常に大切ですね。

平尾:今後我々のようなIT業界としては、どうお付き合いしていけばいいのでしょうか。

守安:大企業との提携で言うと、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とかアライアンス担当とか色々な方がいらっしゃいますが、あくまで入口です。そこは事業部長レベルのボスがいるので、そこにどう入り込むか。社長からしても「その人が言うならいいよ」という人は必ず存在するはずです。そこに入り込んで落とすかが重要になってきます。あとは取締役会で意見を言える人もいるので、その人に「こういう案件いきますけど応援してください」と言っておくとか。

平尾:そこですよね。エースと呼ばれる方や、会社で一目置かれている方にアクセスせよ、ということですよね。ルートと根回しが大事。ズバリ、大企業とスタートアップはもっと絡んだほうがいいのでしょうか?

守安:絡まないでやるスタートアップもあれば、それで難しいなら積極的に絡んでいけばいいと思います。ある程度の規模があれば色々な張り方がありますけど、本当の立ち上げベースならリソースも資産も限られているので、削ぎ落して「これはやらない」と決めていかなければいけないですよね。

平尾:なるほど。小さなスタートアップが大企業とご一緒するときに、契約交渉で排他的にやられてしまう、という話も聞くのですがその辺りのバリアはあるのでしょうか。

守安:規模は大小もちろんあると思いますが、「自分たちのほうが下だ」というマインドは絶対に出さないほうがいいと思います。何があっても対等な関係ですよね、と。
それで契約の前にダメになったとしても、いいじゃないですか。そのマインドでいかないと、契約を取るためにどんなに弱い状況でも契約を受け入れていくと方向に固まってしまうので、「対等な関係としてやるんですよね」というスタンスは貫かないと。

平尾:大企業と組んで何をやるかが目的なのに、大企業と組むことが目的になってしまうんですよね。大変勉強になりました。

 

後編に続く


※所属・役職は取材当時のものです。

SHARE
  • facebook
  • twitter
Top